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人気ポッドキャストの作り方:COTEN RADIOのビジネスモデルと成長戦略に学ぶ

近年、ポッドキャストは副業・起業志向のビジネスパーソンやクリエイターにとって注目のコンテンツ媒体となっています。通勤時間や作業中に「ながら聴き」でき、学びや情報収集の場として活用する人が増えています。そんな中、「歴史を面白く学ぶCOTEN RADIO(コテンラジオ)」は国内トップクラスの人気を誇るポッドキャストとして知られています。実際、コテンラジオはApple Podcastランキングで総合1位を獲得し、ジャパンポッドキャストアワード2019では大賞とSpotify賞の二冠に輝くなど、業界から高い評価を受けました。ビジネスパーソンや経営者まで夢中にさせるその番組は、「人気ポッドキャスト 作り方」を知りたい方にとって格好のケーススタディと言えるでしょう。

コテンラジオは株式会社COTEN(コテン)が配信する歴史教養系のポッドキャスト番組です。世界史データベース事業に取り組むスタートアップCOTENの広報活動として、2018年11月に番組がスタートしました。メインパーソナリティは同社代表の深井龍之介氏とメンバーの楊睿之(ヤンヤン)氏で、さらに地方クリエイター支援者である樋口聖典氏がプロデューサー兼パーソナリティとして参加しています。番組のコンセプトは「歴史を面白く学ぶ」で、吉田松陰や秦の始皇帝、宗教改革といった日本史・世界史の幅広いテーマを扱い、フラットな視点でディープに語り合う形式が特徴です。学校の授業では味わえない歴史の面白さを引き出し、「歴史というレンズを通して人間とは何か、現代人の悩みや社会の流れを読み解く」知的エンタメ番組となっています。

本記事では、コテンラジオの成功要因収益化モデルを紐解き、そのエッセンスから再現性のある戦略(人気ポッドキャストの作り方)を探ってみます。これからポッドキャストを始めたいと考える方は、ぜひ自身の番組作りに取り入れられるポイントを見つけてください。

COTEN RADIOの成功要因

圧倒的なコンテンツ品質と独自の切り口

コテンラジオ最大の成功要因は、コンテンツの質の高さユニークな切り口にあります。番組では毎回、メインの深井氏と楊氏という“歴史GEEK”2人が膨大な文献資料をもとに綿密に台本を作成し、徹底的に調べ上げた歴史ストーリーを語ります。ときには100ページを超える台本になることもあるそうで、数十冊に及ぶ参考文献を読み込み内容を構成しているのです。このように事前調査をしっかり行い、事実と推論・感想を明確に区別して伝えることで、情報の正確性と信頼性が担保されています。

さらに、コテンラジオは歴史の捉え方にも工夫があります。特定の偉人や出来事を扱う際も、いきなり本人の話に飛び込むのではなく、まずはその人物が生きた時代背景や社会構造、文化的特徴、関連人物などを丁寧に紐解いていきます。例えば織田信長をテーマにするなら、信長本人が登場する前に戦国時代の流れや当時の社会状況、信長に影響を与えた人物関係などを深掘りして解説する、といった具合です。その結果、歴史の文脈が立体的に理解できる構成になっており、リスナーは物語を追うように歴史知識を吸収できます。

また、内容のバランスと中立性も意識されています。人物伝や豆知識に偏らず、政治・社会構造からトリビアまでバランスよく織り交ぜているうえ、「確実に史実と分かっている事柄」と「そこからの想像や感想」をきちんと切り分けて伝える配慮があります。さらに、人文学的な観点からイデオロギーに偏らず、特定の人物を神格化したり善悪を押し付けたりしないよう心掛け、「フラットに歴史を伝える」ことを番組方針としています。このような中立公正なスタンスが、多様な層のリスナーから支持される土台となりました。

専門家×素人×芸人の掛け合いによる分かりやすさ

コテンラジオを他にはない番組にしているもう一つの要因が、個性豊かなパーソナリティ陣の掛け合いです。深井氏・楊氏の博識な「歴史強者」コンビに対し、樋口聖典氏は自称「圧倒的歴史弱者」として参加しています。樋口氏は元お笑い芸人という経歴を持ち、その立場からリスナー目線で素朴な疑問を投げかけたり、合いの手を入れて笑いを誘ったりして議論を盛り上げます。難解になりがちなテーマも、樋口氏の問いかけによって丁寧に噛み砕かれ、初心者にもスッと内容が入ってくる工夫がなされています。専門知識を持つ解説者と、一般視聴者目線のナビゲーター役が組み合わさることで、「わからない人を置いてきぼりにしない」親切な番組運営が実現できているのです。

さらに、樋口氏は音響・編集のプロデューサーとしての顔も持っています。福岡県田川市にある録音スタジオ「いいかねPalette」の代表でもある樋口氏は、自身のスタジオをコテンラジオの収録に提供し、編集や効果音付けなど番組制作の裏方も担っています。高品質な音声と丁寧な編集はリスナーの聴きやすさにつながり、新規ファンの獲得やリピーター増加にも一役買っています。コンテンツ内容の濃さに加え、音質や演出面でのクオリティも追求している点が、コテンラジオが多くの人を惹きつける理由と言えるでしょう。

継続配信と口コミによるファンコミュニティの拡大

コテンラジオは配信頻度の高さと継続性も成功を後押ししました。Appleの番組ページによれば週2回ペースで新エピソードが更新されており、開始以来コンスタントにコンテンツを提供し続けています。実際、2018年11月の配信開始から2年半が経過した2021年6月時点で、月間ユニークリスナー数は約14.2万人、総再生回数は約1,900万回に達しました。継続的な発信によって着実にリスナーのファン化が進み、このように大規模なオーディエンスを獲得するに至ったのです。

ファンコミュニティの拡大には口コミ効果も大きく寄与しました。コテンラジオはビジネスパーソン層に刺さる内容であることから、経営者や起業家同士の間で「この番組は面白い」「勉強になる」といった評判が広まりました。実際、番組は向上心の高い経営者層やビジネス層に支持されており、「通勤中や運動中にながら聴きで学べる」といったニーズにハマったことが人気の要因だと指摘されています。忙しいビジネス層にとって、スキマ時間で教養を深められるコンテンツは貴重です。こうしたターゲット層のニーズにマッチした提供形態だったことも、人気拡大の追い風となりました。

また、リスナーとの距離を縮める工夫やイベントもコミュニティの活性化につながっています。例えばYouTube上で配信された忘年会ライブや、エピソードごとの感想戦配信、Xでの積極的な情報発信など、プラットフォームを横断してファンと交流を図っています。番組の公式サイトでは参考文献リストを公開したり、お便りフォームを設置してリスナーの声を拾ったりと、双方向のコミュニケーションも意識されています。こうした取り組みがファンの愛着を育み、「COTEN RADIOを応援したい」という熱量の高い支持層を生み出しました。

収益化モデル:COTEN RADIOのビジネスモデル

人気ポッドキャストを継続運営するには、情熱だけでなく収益モデルも重要です。コテンラジオを運営する株式会社COTENは、独自の収益化手法である「COTEN CREW(コテン・クルー)」を中心にビジネスモデルを構築していますnote.com

広告に頼らないファン課金モデル「COTEN CREW」

コテンラジオでは広告スポンサーや有料配信による収益化をあえて行っていません。多くのリスナーに支持され評価も高い番組ですが、運営側は「番組を有料化したり広告を付けたりすることは考えていない」と明言しています。理由は明快で、スポンサーに依存したり広告収入を最優先にしたりすると、コンテンツの内容や方針が企業や市場原理に左右され、COTENが掲げるミッション(異なる価値観の提供によるメタ認知の促進)に反してしまう恐れがあるからです。歴史を扱う番組だからこそ、特定のスポンサーに忖度し偏った視点を入れることは避けねばならず、内容の独立性・中立性を保つためにも広告モデルに頼らない選択をしています。

代わりに採用しているのがリスナーや支援者からの自発的な資金提供を得るモデル、すなわち「COTEN CREW」と呼ばれる月額サポーター制度です。個人または法人がCOTEN CREWメンバーとして参加し、毎月定額のサポート費用を支払うことで、番組とその背後にあるCOTEN社の活動全体を支援する仕組みになっています。いわばスポーツチームのファンクラブ会費や、オンラインサロンの会員費のような形態ですが、COTEN側はこれを「一種の社会実験」と位置付けています。多くの人に良いコンテンツを無料で届けつつも、「良い活動だから応援したい」と思う人々からの自発的な支援だけで果たして事業が成り立つのか――従来は難しいとされたマネタイズ手法に敢えて挑戦しているのです。

COTEN CREWメンバーには、リターンとしてCREW限定の早期アクセス(一般公開に先駆けて新エピソードを聴ける)やボーナスエピソード配信などが用意されています。もっとも、これらの特典は「お金と引き換えに提供する商品」というより感謝の印程度の位置づけです。あくまで支援の主目的は「番組およびCOTENの活動全体を応援すること」であり、特典はおまけというスタンスを明示しています。このように金銭的なインセンティブよりも共感や応援の気持ちに訴えるモデルである点もユニークです。

では実際、このモデルは成果を上げているのでしょうか。答えはYESです。COTEN CREWの個人会員数はもうすぐ1万人に届く規模に達しており、参加企業も数十社に上りますnote.com。その数は日々増え続けており、CREWからの支援金だけで年に数億円規模の事業になっているといいます。ポッドキャストという一コンテンツでここまでの収益基盤を築けている例は日本では稀であり、COTEN CREWモデルの成功がうかがえます。

周辺事業と資金調達

もっとも、コテンラジオの収益源はCREW会費だけではありません。株式会社COTEN自体は世界史データベース構築を主軸に据えつつ、その知見を活かした法人向け研修事業やコンサルティングなども手掛けています。例えば企業の経営幹部に歴史上のケーススタディを示し、自社の現状と重ね合わせて戦略を議論する研修プログラムなどは既に高い手応えを得ているようです。こうしたBtoBサービスは伝統的な収益モデルに則った事業ですが、ポッドキャストで培った知名度や歴史知識が大いに役立っている領域と言えます。

さらに、資金調達による事業拡大も見逃せません。COTENはその理念に共感するエンジェル投資家やベンチャーキャピタルから出資を受けており、2021年6月には総額8,400万円、2023年には約1億2,000万円の資金調達を実施しています。特に初回のラウンドではメルカリ共同創業者の石塚亮氏など名だたる起業家が名を連ねたことで話題になりました。ユニークなのは、深井氏がこの調達に際し「事業計画書を出さず、Exit(株式売却による投資回収)も目指さない」と宣言した点です。一般的なスタートアップの常識にとらわれず、「資本主義のアップデート」に挑むという思想に賛同した投資家たちから資金を集めたのです。この背景には、COTENが掲げるミッションへの強い共感と、コテンラジオを通じて形成された熱心なファンコミュニティの存在があったと言えるでしょう。投資家自身がコテンラジオのリスナーであり、「このコンテンツに価値がある」と確信して出資したケースも報告されています。

以上のように、コテンラジオのビジネスモデルは(1)ファンからの直接支援による収益化、(2)周辺領域への知識展開による収益化、(3)理念共感型の資金調達という三本柱で成り立っています。それでは、こうした成功を支えた戦略は他のポッドキャスト制作者にも再現可能なのでしょうか。次に、コテンラジオから学ぶべき成長戦略のポイントをまとめます。

再現性のある戦略:人気ポッドキャスト成功のポイント

コテンラジオの事例から見えてくる「人気ポッドキャストの作り方」を、これから番組を始める皆さんにも応用できる形で整理すると、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 独自のテーマ設定と価値提供:まず、自分の得意分野や情熱を注げるテーマで、なおかつリスナーに新たな価値を提供できる切り口を見つけましょう。コテンラジオの場合、「歴史 × ビジネス教養」というユニークな組み合わせで、歴史の学びから現代を捉え直すという価値を提供しました。ニッチであっても、刺さる相手には深く刺さるテーマ設定が肝心です。他にないコンテンツほど差別化につながり、熱狂的なファンを生み出しやすくなります。
  • コンテンツの質と信頼性を最優先:人気ポッドキャストになる近道は、やはりコンテンツのクオリティです。いい加減な情報や浅い語りでは支持は得られません。コテンラジオは数十冊の書籍を下調べし台本を作るほど徹底していました。皆さんも専門性を高めたり、事前準備に時間を割いたりして、聞きごたえのある内容を提供しましょう。また、事実と意見を分ける、不確かな情報は断りを入れるなど、誠実な姿勢で情報発信することが信頼につながります。リスナーとの信頼関係が築ければ口コミで広がり、結果的に番組の成長を後押しします。
  • リスナー視点のわかりやすさ:専門的な内容を扱う場合でも、初心者の視点を忘れないことが重要です。コテンラジオでは元芸人の樋口氏がリスナー代表となり、難しい話を平易に引き出していました。同様に、自分の番組でも専門用語をかみ砕いて説明したり、例え話を用いたりして、できるだけ分かりやすく伝える工夫をしましょう。可能であれば複数人で配信し、知識レベルの異なるメンバー同士で対話する形式にすると、専門家と初心者のバランスが取れて初心者にも優しい番組になります。
  • 継続的な配信とシリーズ企画:ポッドキャストは継続して更新することで徐々にファンを増やすメディアです。最初は反応が少なくても、定期的な配信をコツコツ続けることが大切です。更新頻度が高いほどリスナーの習慣にもなりやすく、最新エピソードを心待ちにしてもらえるようになります。コテンラジオも週2回のペースで配信を続け、大賞受賞まで約2年かかりました。また、シリーズ物の企画も有効です。一つの大きなテーマを複数回に分けて掘り下げることで、リスナーの継続視聴を促し、「次回も聞きたい」というリテンション効果が期待できます。実際コテンラジオでは資本主義や宗教改革など長編シリーズで配信し、高いエンゲージメントを生んでいます。
  • マルチプラットフォーム展開と発信:音声プラットフォーム以外にも露出を増やしましょう。Xやブログ、YouTubeなど他媒体で番組の内容を要約したりハイライトを公開したりすると、新規層の発掘につながります。コテンラジオもSpotifyオリジナルのスピンオフ番組を展開したり、YouTubeで生配信イベントを行ったりと、幅広く発信することでファン層を拡大しました。特にYouTubeは検索にも乗りやすいため、音声の動画化(静止画+音声でも可)をしてアップするのも一案です。複数チャネルで存在感を出しつつ、一貫したテーマ発信でブランド力を高めていきましょう。
  • ファンとの交流とコミュニティ作り:リスナーは番組の「共犯者」と言える存在です。感想コメントを紹介したり、ハッシュタグで募集した意見を取り上げたりして、双方向のコミュニケーションを図りましょう。熱心なリスナーほど、自分の声に応えてもらえると愛着が増し、さらに番組を応援してくれるようになります。可能であればオフライン・オンラインのイベント(ライブ配信、交流会など)も企画し、コミュニティとしての一体感を育てると良いでしょう。コテンラジオの場合、COTEN CREWという仕組みで「番組を支える仲間」という意識づけをし、結果として1万人規模の強固なファン基地を築くことに成功しました。自分の番組でも、小規模でもいいので支援者グループやディスカッションの場を設けると、コアファンとの絆が深まり長期的な支えとなってくれるはずです。
  • 収益モデルの工夫と信念の遵守:最後に、番組の収益化についても戦略を持ちましょう。広告収入や有料配信は手っ取り早いマネタイズ手段ですが、コンテンツの方向性によっては逆効果になる場合もあります。コテンラジオが示したように、自分たちの信念や番組の価値を損なわない収益モデルを選ぶことが重要です。例えば専門性の高い番組であれば、スポンサーも関連分野に限定して世界観を崩さないようにする、あるいはリスナーからの投げ銭やサブスクリプションで運営費を募る、といった方法が考えられます。規模が大きくなればグッズ販売や講演活動、コミュニティ有料会員なども選択肢に入るでしょう。いずれにせよ、長く愛される番組にするにはリスナーの信頼を裏切らないことが第一です。収益化の際も「なぜこの手段なのか?リスナーにどう価値還元するか?」を丁寧に伝え、共感を得ながら進めるようにしましょう。

まとめ

副業やスタートアップの一環としてポッドキャストを始める人にとって、コテンラジオの歩みは多くの示唆を与えてくれます。世界史という一見ニッチな題材からスタートしながらも、質の高いコンテンツと巧みな戦略によって、コテンラジオは国内有数の人気ポッドキャストへと成長しました。その背後には、徹底したリサーチと中立的視点で信頼を勝ち取ったこと、専門家と素人の掛け合いで難しい内容を噛み砕いたこと、そして何より「良質な学びを広めたい」というブレない軸があったと言えるでしょう。

ビジネスパーソンやクリエイターがポッドキャストに取り組む場合、どうしても短期的な再生数や収益に目が行きがちです。しかしコテンラジオの事例が示すように、長期的視点でコンテンツとコミュニティを育てることが結果的に大きな成果につながります。地道な継続と熱量のこもった配信がファンとの信頼関係を生み、それが口コミで新たなファンを呼び込む好循環を生むのです。

最後に、これから番組を始める皆さんも、ぜひ自分ならではの価値を提供する番組作りにチャレンジしてみてください。コンテンツの質を追求し、リスナーとの絆を大切にしながら、自分の信念に沿った収益モデルを模索すれば、きっと「人気ポッドキャスト」を育て上げることができるはずです。その際、本記事で取り上げたCOTEN RADIOのビジネスモデルと成長戦略が何か一つでも参考になれば幸いです。そしていつの日か、あなたの番組もコテンラジオのように多くの人に愛され、社会にポジティブな影響を与える存在となることを期待しています。